越境ECのご相談も多く「Magento(マジェント)」を利用したECサイト構築も行っています。
そこで今回は「Magentoとは何か」についてご紹介します。
※2系のBtoC利用をベースとして記述します。
第2回 基本機能とメリット・デメリットを解説
第1回 図解で簡単!インストール方法を紹介
日本国内消費者向けECを構築する場合は、消費者が希望する決済方法が多様化していることから、クレジットカード・コンビニ支払い・代金引換の三大決済をベースに、商材と客層にあった決済方法を検討し、銀行振込・郵便振替・後払い決済・ネットバンク・キャリア決済・電子マネーなど、できるだけ多くの選択肢を用意することが理想です。
海外消費者向けの越境ECを構築する場合も同じく、客層にあった決済方法を用意することが重要です。事前に現地消費者がよく利用している支払方法を調査・検討し、導入するようにしましょう。
目次
最初に考慮したい支払方法
アメリカでは、クレジット・デビットカードが決済手段の80%近くを占め、PayPal(ペイパル)が続きます。欧米・韓国・香港・台湾など、国によって状況は異なりますが、まずはクレジット・デビットカード・ペイパルが利用できる環境を整えることが必須といえます。
MagentoにはPayPal決済が標準装備されているため、足りない部分を決済代行サービスなどで補うとよいでしょう。(Magento2.1以降、同一画面内に表示されるように変更されました。)
経済産業省「平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)報告書」
ただし中国をターゲットに含める場合は注意が必要です。クレジットカードの不正利用が深刻であることから、クレジットカードではなく、デビットカードである「銀聯(ぎんれん)」、電子マネー決済である「支付宝(ALIPAY / アリペイ)」、「微信支付(WeChat Pay / ウィーチャットペイ)」が80%以上を占めます。決済代行サービスを選ぶ際は、これらのブランドをカバーできるか否か、確認が必要です。
決済サービス、何を基準に選ぶべき?
国内消費者向けECにおいて決済サービスを選ぶ時と同様、決済代行会社を利用すると便利です。
個人契約か法人契約か
例えばAmazonPay(アマゾンペイ)は法人契約のみ可能で、個人契約することはできません。
比較を始める前に、まず契約する形態を明確にしましょう。
対応ブランド
前述したように、例えば中国をターゲットとするなら、銀聯やアリペイも考慮する必要があります。
多通貨クレジットカード決済を提供している決済代行サービスの中には、同時に、銀聯ネット決済・Alipay国際決済・Paypal決済といった国際決済が利用可能なものもあります。必要に応じて検討しましょう。
取扱通貨
例えば、アメリカの方向けに英語表示を用意しても、日本円(円建・JPY)で価格設定されていたら、お客様自身が商品ごとに、その時点のレートを調べ、$(米ドル・USD)換算をしなければなりません。そのため「せっかく気に入った商品を後で購入しようと思ったら、為替変動して価格が変わった」「都度、レートを調べるのが面倒」とカゴ落ちしするケースも少なくありません。
Magentoでは、為替レートからの自動計算を設定することにより、サイトには自国通貨の価格を表示しながら、実際の決済は円建で行うことが可能なため、ユーザーが都度レートを調べる必要がありません。しかし見るたびに価格が変わる印象はぬぐえず、機会損失につながる可能性があります。
逆に各消費者の自国通貨で価格設定している場合、店舗への精算時、国際ブランドへ売上データを送付したタイミングの為替レートで円転するため、店舗側が為替変動リスクを負うことになります。
一般的に外貨決済代行サービス導入のメリットは、以下にあります。
- 自国通貨建て(外貨建て)が可能となり売上アップが期待できる
- 日本円での一括入金により経理業務負担が軽減される
これらのメリットを活かすためには、自国通貨建て(外貨建て)&日本円精算の採用がオススメですが、以下の3点について、事前に決めておきましょう。
- 請求・決済は「自国通貨建て(外貨建て)」か「日本円建て」か?
- どこまで現地通貨に対応する必要があるのか?主要通貨のみに限るのか?
- 決済会社からの精算(振込)は「日本円」でよいのか?
言語対応
サイト上の表示言語と、決済画面内の表示言語が異なると、ユーザーは混乱します。
また例えば「越境EC用を運営するために外国人を雇ったので、管理画面は日本語より英語のほうがよい」といったケースも生じる可能性があります。
少なくとも3つのシーンについて、どんな言語対応が可能か、確認しておきましょう。
- 購入者が利用する「決済画面内の表示言語」
- 運営者が利用する「決済代行サービスの管理画面」
- 運営者が利用する「決済代行サービスのサポート」
Magento2用のエクステンションがあるか否か
せっかく採用を決めても、その外貨決済代行サービスのMagento2用エクステンションがなければ、導入するための独自開発が必要となります。
エクステンション自体が有料ですが、独自開発のほうが初期費用・保守管理費用がかさむことから、可能であれば、Magento2用のエクステンションがあるサービスの中から選ぶことをオススメします。エクステンションはさまざまな会社から発行されているので、検討しているサービスに事前に問い合わせてみましょう。
なおエクステンションには、バージョンの異なる「Magento」用と「Magento2」用が存在します。エクステンションを探す際には、対応するMagentoのバージョンを必ず確認するようにしましょう。
ベリテワークス製 Magento2用決済連携エクステンション
既に契約している会社の外貨決済サービス
国内消費者向けECを既に運営していて、利用中の決済代行サービスがある場合は、そのサービスに「外貨決済サービス」がないか、確認してみましょう。
サイトが複数になるため、新たな契約が必要になる(管理画面へのIDが複数になり、初期費用や月額費用もそれぞれかかる)可能性がありますが「現場が運用に慣れている」という利点があります。
費用・料金
国内消費者向けEC同様かかる費用に加え、外貨決済ならではの費用も考慮する必要があります。
- 初期費用
導入する際、最初にかかる費用です。
サービス契約にかかる費用だけでなく、Magento2に導入するためのエクステンションにかかる費用も確認しておきましょう。 - 月額料金(固定費)
売上金額・利用件数に関わらず、毎月かかる費用です。
無料のものや安い価格帯のサービス・プランは次項の手数料が高く、月額料金が高いものは次項の手数料が低い傾向にあります。
月々の売上金額・件数を予測し、バランスをみる必要があります。 - 手数料
決済額に応じて発生する決済手数料、決済件数1件ごとにかかるトランザクションフィー、キャンセルなど決済処理を取り消す際に生じる手数料などがあります。また決済金額を外貨から日本円に変換する際に発生する為替手数料・FX費用・外貨関係事務処理経費など、外貨決済特有の手数料もあります。
オープンまでの期間
審査を申し込んでから利用開始できるまでの日数も重要です。申し込む内容にも異なりますが、国内消費者向けECよりも審査に時間がかかる傾向にあります。
あくまで審査にかかる期間なので、もしサイトの内容に問題があり、修正が必要であれば、もっとかかる場合もあります。また利用可能になった後、Magentoにその支払い方法を組み込む日数もみておかなければなりません。
本来、重視すべきではありませんが、どうしても1日でも早くオープンしなければならない理由がある場合は、導入スピードで選ぶのもひとつの方法です。
支払いまでの期間
決済から実際に入金されるまでの期間も重要です。越境ECの場合、規模が大きくなると、消費税還付までの期間が長いことによる資金繰りが問題になるケースがあります。
初期設定の時点で既に短いサービス、早期入金サービスなどのオプションがあるサービスなどもありますので、検討しておきましょう。
条件を整理し、複数のサービスに問い合わせてみよう
越境ECの決済サービスを選ぶには、国内消費者向けECで選ぶよりも、考慮・検討すべき条件が多くなり、混乱する方が多いように感じます。「希望する条件、どのような運営体制をとるのか」など、事前にしっかり整理しましょう。
また、初期費用やコスト・手数料で判断したくなる気持ちは分かりますが、将来的に言語や通貨、ブランドなどを追加しようとした際、サービスを乗り換えなければならない可能性もあります。Magento2でいえば、ただ乗り換えるだけでなく、エクステンションを買い直し、導入し直す必要も生じます。もちろん、管理画面が変わる、基幹システムや物流などとの連携方法が変わる、など現場の混乱が生じる可能性もあります。
将来的な展望を含め、希望する条件を整理したら、複数の決済代行サービスに相談してみましょう。1つだけでなく、複数のサービスから説明を受けることにより、見落としていたポイントに気づくかもしれません。
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