ECサイトの制作やリニューアルの見積りを行うためには「何をどこまで作り込むのか」、納品=ゴールがどこにあるのか、お客様と制作会社の認識ができる限り一致していることが必要です。しかし見積りのためのヒアリングを行おうとすると「何も想定していないので、なんとなく、ざっくりと見積もってもらえれば大丈夫です」といった返事が戻ってくることがあります。
これは非常に危険な状態です。
例えば相見積もりをとって比較するとしても、その制作会社ごとに、必要だと感じる機能や優先すべき項目など、ゴールが大きく異なっている可能性があるため、比較検討の材料にすることができません。単純に見積書にかかれた金額だけを比較し、安いところを選べば、自分が必要とする機能が見積りに入っておらず、追加料金が必要となり、かえって高くつく可能性もあります。サーバの仕様、その制作会社の得意とする技術やスケジュールの問題で、その機能を追加することができないケースもあります。
実店舗で考えてみてください。どこに出店するか、どんな雰囲気のお店にするか。どんな作業・業務を機械化・システム化するのか。「ロゴは店舗側で用意できるけど、看板の制作・設置はお願いする。内装の素材は主に木で、商材がはえるように、この色を使って欲しい。売上だけでなく、在庫管理もレジで一括管理したい。」など、何を用意できて、何を依頼したいのか。見積りを依頼する前にある程度、考慮しているはずです。「何も想定していないので、なんとなく、ざっくりと見積もってください」とは言わないのではないでしょうか。
ECサイトも、商品をアピール・販売するだけでなく「売上を伸ばす場」です。成果の出るECサイト=店舗・ショップを作るためには、依頼者と制作会社が、明確なゴールへの認識を共有し、必要となる工程を明確にしたうえで進行することが不可欠です。制作が始まってから「全然違う」と慌てないために。再見積もりや追加見積り、納期の遅れなどのリスクを回避するためにも、見積もりに必要な事項を、依頼する前に調査・検討・決定し、できるだけ正確な見積りをとることから始めましょう。
目次
見積りを依頼する前に、準備しておきたい項目!
ECサイト・会社の方針
ECサイトで達成するべき短期目標・長期目標、会社として目指す目標など、そのサイト製作によって何を得たいのか、明確にしておきましょう。
希望納期や予算(初期費用・ランニングコスト)がある場合は、必ず見積りの段階で伝えるようにしましょう。
機能
どのような機能が欲しいか列記し、その優先順位を決めておきましょう。
完成したシステムを、現場の方が「技術的に使いこなせるか」「時間や動線など、業務を行ううえで無理なく使いこなせるか」も重要なポイントです。保守管理への考慮にも関わってきます。運営する現場の方の技術力や環境も調査しておきましょう。
デザイン
PC・スマホ・タブレットなど、どの機器でどのように見せたいか、どのようなイメージ・印象を与えたいか、どんな色を使いたいのかなど、希望を明確にしておく必要があります。
既に、店舗に関するロゴや写真・テキスト、商品を紹介するための素材、他店競合と差別化するためのデータなどある場合は整理しておきましょう。
現在のサイトのアクセス解析データなど
リニューアル、機能追加、多店舗展開などの場合、現在のネットショップで蓄積されているデータがあれば、そのデータを基に「何をするべきか」優先順位を考慮する材料にもなるので、用意しておくとよいでしょう。
リニューアルや多店舗展開、すでにある店舗の運営管理に関する機能強化などを行いたい場合は、準備しやすいと思います。認識のズレを減らすためにも、可能なかぎり詳細な準備をしてから見積りを依頼するようにしましょう。
初めてECサイトを構築する場合は、業界のことも専門用語も分からず「やっぱり先に、とりあえず幾らかかるかだけでも知りたい」と思われるかもしれません。しかし箇条書き程度でもかまいません。専門用語が分からなければ、思い描いていることを文章にしたり、「こんな店舗にしたい」という例を挙げていただいたりしてもOKです。少しでも、条件や希望を整理し準備しておくことによって、ゴールへの認識を可能な限り共有することができます。
成果の出るECサイトは、お見積りをとる準備から始まっています。
依頼する前に、制作・構築が始まる前に、しっかり自分の商品、お店のこと、会社のことを考えてみてくださいね。
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