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Adyenのエージェンティックコマース調査発表、ECで投資予定と購入委任への抵抗を分けて読む
- EC

エージェンティックコマース調査の数字を見て、AIに買い物を任せる流れが急速に決まったように感じていないでしょうか。2026年7月28日にAdyenが公表した調査では、小売事業者の97%が今後2年間で同分野への投資を予定する一方、消費者の62%はAIアシスタントへ購入をゆだねることに抵抗があると答えました。国内でECを運営し、AIによる商品提案や購入支援を検討する場面で、投資の速さと顧客の受け止め方を同じものとして扱わないための材料になります。
エージェンティックコマース調査が示した投資予定と購入委任への抵抗
Adyen Index Japan Retail 2026では、AIアシスタントへの購入委任に抵抗がある消費者は62%、日本におけるAIアシスタントの利用率は37%とされています。対して、小売事業者の97%は今後2年間でエージェンティックコマースへの投資を予定しています。
この三つの数値から、特定の画面や設計の有効性は分かりません。ただ、投資予定の大きさ、購入委任への抵抗、利用率を並べて読むと、AI活用の検討では「何に投資するか」と「購入をAIにゆだねることをどう受け止めるか」を別々に確かめる必要がある、という見方はできます。
97%と62%は、同じ人たちの表裏ではない
数字の緊張関係は注目に値しますが、需給の乖離を証明するものではありません。消費者調査は18歳以上の日本人男女1,034名、小売事業者調査は年間売上高100億円以上の日本の小売事業者334社を対象に、いずれもオンラインで実施されました。事業者側の回答者はシニアマネージャー以上です。
したがって97%は大手小売の投資予定であり、導入実績や成果ではありません。62%も、その大手小売の顧客だけを表す数値ではありません。一人運営や中小規模のECが「市場全体が投資する」と受け取ったり、自店の顧客も62%が抵抗すると断定したりはできません。
前年の調査を加えると、AI活用と購入委任は別の問いになる
補足として、Adyenが2025年5月15日に公表したリテールレポート2025では、日本の消費者の12%が買い物の際にAIを活用し、そのうち35%が今後もAI活用購買に前向きとされました。同資料の日本の対象者は2,000人です。
この12%と、2026年資料の37%は質問内容も調査対象も同一と確認できないため、利用が何ポイント増えたという比較には使えません。一方で、二つの資料は「買い物の際にAIを活用すること」と「AIアシスタントに購入をゆだねること」を別の表現で示しています。このため、自店でAI活用を検討するときも、検討対象が購入支援なのか、購入をAIにゆだねることなのかを分けて置くと、二つの資料が示す数値を混同しにくくなります。これは資料の表現を踏まえた整理であり、顧客の行動を示す結論ではありません。
いま投資判断で確認したい問いを分ける
AIを使った売り場や購入体験の話が出ているなら、まず検討中の内容を「購入を支援するもの」と「購入をAIにゆだねるもの」に分けて書き出してみてください。2026年資料の97%は投資予定、62%は購入委任への抵抗を示す数値です。両者を一つの指標として扱わないことが出発点になります。
資料からは、どの設計が抵抗を減らすか、どの事業者が実際に投資を実行したか、投資が売上や利益に結び付くかは分かりません。大手小売の97%を追随の根拠にする前に、自店で検討している内容がどちらの問いに当たるのかを確認すると、今回の発表を過大に読まずに済みます。
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