Blog
ブログ
ECサイトの商品探索体験で、予定外購入より先に見るべき離脱と情報不足の調査
- EC

商品を決めて来たはずの購入者が、商品を見つけられないまま離れていく。一方で、見つけやすさをきっかけに予定外の商品を買う人もいる。ECサイトの商品探索体験を考えるとき、目立つ「ついで買い」の数字だけを追うと、最初に直す場所を見誤ります。
2026年8月27日に株式会社DGビジネステクノロジーが公表した調査では、目的買いの人が多い一方で、その層にも商品を見つけられず離脱した経験がありました。先に扱うべきなのは、関連商品を増やすことではなく、目的を持った人が検索、カテゴリ、商品ページを通って判断できる状態です。その土台があって初めて、関連商品の見せ方を検討できます。
この記事では、調査の数値から直接読めることと、売り場で立てるべき仮説を分けます。ここで紹介する割合を、自店の売上や購入率の予測には使いません。
目的買いが多くても、探しやすさの課題は消えない
この調査は、買うものを決めてから購入する行動を「目的買い」、回遊しながら好みの商品と出会って購入する行動を「探索買い」と定義しています。全体の68.9%は、購入する商品をある程度決めている目的買いでした。
ここだけを見ると、店内回遊より商品名検索や購入導線を優先すべきだ、と読めます。ただし同じ調査では、欲しい商品を見つけられずに離脱した経験がある人は全体で71.9%、目的買い層でも71.5%でした。目的が明確な人なら、商品名を入れれば迷わず買えるとは限りません。
店頭に置き換えると、探している棚へ向かった人が、商品名の札、売り場の分類、商品を選ぶための説明のどこかで立ち止まり、そのまま出口へ向かう状態です。目的買い向けの導線と、回遊を促す導線を二者択一にするのではなく、前者で迷わせないことを先に置く。この順番が今回の調査から導ける実務上の見方です。
66.8%の予定外購入は、レコメンドを増やす根拠ではない
「商品の見つけやすさ」をきっかけに予定外の購入を経験した人は全体の66.8%、目的買い層でも63.6%でした。予定外購入のきっかけでは、価格的なメリットが66.5%、好みの商品との思いがけない出会いが55.3%、高評価レビューが29.9%と示されています。
この数字は、商品を探す過程が購入のきっかけになり得ることを示します。ただし、「関連商品を多く表示すれば自店でも予定外購入が増える」という因果や、改善幅を示したものではありません。購入のきっかけには価格的なメリットも含まれており、どの要素が各店舗の購入に結び付くかは、この調査だけでは分かりません。
予定外購入の割合を施策の目標に置くより、「目的の商品にたどり着いた後、次に比較できる商品があるか」という仮説に変える方が使いやすいでしょう。関連商品表示は、探しているものを見失わせる配置ではなく、商品選びを続けられる位置にあるかで見ます。
「情報不足」と「不要な表示」が同時に出ている
商品を探す際の不便・不満として最も多かったのは「商品情報や画像・レビューなどの不足」の45.6%でした。次いで「広告や不要なレコメンド表示の多さ」が39.9%です。
さらに、不要なレコメンドは不満の2位である一方、的確なレコメンドは購入のきっかけの4位で29.6%でした。同じ「おすすめ表示」でも、購入の助けになる場合と、探す作業を遮る場合がある、という対比です。
| 調査で示された対比 | 数字から直接読めること | 自店で立てる仮説 |
|---|---|---|
| 商品情報・画像・レビューの不足:45.6% | 情報不足を不便と感じた回答があった | 検索結果から開いた商品ページで、選ぶ材料が足りずに戻っていないか |
| 不要なレコメンド:39.9% | おすすめ表示の多さを不満と感じた回答があった | 目的の商品を探す途中で、関係の薄い表示が判断を遮っていないか |
| 的確なレコメンド:29.6% | 的確なおすすめを購入のきっかけとした回答があった | 商品を比較した後に、次の候補として読める関連商品になっているか |
ここでの「的確さ」は、表示数の多さでは測れません。商品情報が足りないページに関連商品だけを足しても、購入者は元の商品を選ぶための材料を得られないままです。反対に、比較や次の候補を考える段階で関係のある商品が現れるなら、回遊を邪魔する表示と同じとは限りません。
直す順番は、探索を一つの導線として見る
サイト内検索、カテゴリ、商品ページ、レビュー、関連商品を別々の施策名で並べると、派手な改善案から先に選びがちです。今回の調査を読む起点は、購入者が何を探し、どこで答えを得られず、どこで次の商品へ進んだのかという一つの流れです。
いま検索離脱や客単価の話が出ているなら、手元の記録を次の順で見てみましょう。
- まず、検索結果が出なかった語と、検索後に商品を開かずに終わった語を分けます。前者は探している入口がない可能性、後者は結果の並びや言葉が意図とずれている可能性として置きます。
- 次に、検索やカテゴリから見られた商品ページで、商品情報、画像、レビューのどれが選ぶ材料として足りないのかを確認します。ここでは不足を推測で埋めず、販売側で確認できる情報だけを候補にします。
- その後に、商品ページで表示している関連商品を見ます。元の商品を見た人にとって比較対象か、用途や選択条件を引き継げる候補かを読みます。どちらでもない表示なら、予定外購入の数字を理由に残す必要はありません。
優先順位は、検索結果ゼロや商品情報不足のように、目的買いの人が答えへ進めない箇所からです。その後で、関連商品の表示内容を比べます。これは調査の数値を自店の基準値に変換する手順ではなく、71.5%の離脱経験と63.6%の予定外購入経験を並べたとき、後者だけを先に追わないための判断です。
この調査を市場全体の基準にしない
調査対象は、月に1回以上ECサイトで買い物をする20代から50代の男女331名です。公表日は2026年8月27日です。したがって、ここで示された割合を、すべての購入者、すべての業種、各モールや自社ECの成果へ広げることはできません。
使えるのは、「目的買いなら探索の設計は後回しでよい」「レコメンドは多いほどよい」といった単純な見方を止める材料です。自店で起きている検索語、閲覧、カート、購入の動きと照らし、どの段階に答えの不足や関係の薄い表示があるのかを確かめる問いとして扱えます。
商品検索、カテゴリ、商品情報、関連商品表示が別々に改修され、購入までの流れとして整理しにくい場合は、お問い合わせからご相談ください。
本記事は記事内で取り上げる各サービスの提供会社が提供または認定するものではありません。
調査の詳細は、株式会社DGビジネステクノロジーの公表資料で確認できます。
blog
ブログ
AIでEC業務を自動化したのに、なぜ忙しい?「作った後」の仕事を見直そう
AIで商品説明や登録データを作っても、確認と修正で忙しいまま。ECの商品登録を例に、AI・プログラム・人の役割、利用料と作業時間の測り方、自作と開発会社への相談の判断基準を解説します。試作品を業務で使える状態にするためのテスト・修正・連携と、運用後の保守も含めて見直しましょう。
- EC
GPT-6でECの仕事はどう変わる?商品ページの改善を任せる具体例
GPT-6 AstraをEC運営にどう生かせるのでしょうか。公式情報をもとに、商品資料・購入前の質問・ページ画像を照合し、修正指示を作る活用例を紹介します。コピーして使えるプロンプト、利用条件の確認方法、導入効果を判断する基準まで整理しました。
- EC
Yahoo!ショッピングのAIおまかせコーディネート発表、ファッションECは売上予測より商品情報を見る
Yahoo!ショッピングでファッション商品を扱うEC担当者へ。AIおまかせコーディネートの先行提供を機能単独の売上成果と混同せず、AIが扱う商品情報、生成画像と実物の差、データが表示されない場合を整理し、商品ページの見直しどころを判断します。
- EC