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AIでEC売上CSVを分析したら、メール利益を逆に読んだ|式を渡して直す方法
- EC

AIでEC売上CSVを分析すると、集計だけでなく次の施策まで一度に返ってきます。今回も「広告は赤字化しています」「メールを伸ばしましょう」と、かなり仕事ができそうな回答でした。
ところが元のCSVへ戻ると、メール流入の利益は増えていません。3万3,000円から2万7,000円へ減っているのに、AIは「2万7,000円から3万3,000円へ増加」と逆向きに読んでいました。文章として自然なので、数字を一つずつ見なければ、そのまま週次報告へ貼ってしまいそうです。
今回は実在店舗ではなく、比較用に作った二週間・三流入元のCSVをGPT-5.6-terraへ渡しました。2026年8月18日に各回を新しい一時セッションで実行しています。まず、全体で何が起きていたかを見てみましょう。
period,source,sessions,orders,sales_yen,gross_profit_yen,ad_cost_yen,coupon_cost_yen,refunds_yen
2026-07-20_07-26,organic,1200,48,240000,96000,0,0,5000
2026-07-20_07-26,ads,800,32,160000,64000,45000,0,4000
2026-07-20_07-26,email,300,18,90000,36000,0,3000,0
2026-07-27_08-02,organic,1150,43,215000,86000,0,0,5000
2026-07-27_08-02,ads,1400,49,245000,98000,90000,12000,8000
2026-07-27_08-02,email,280,15,75000,30000,0,3000,0
| 指標 | 7月20日〜26日 | 7月27日〜8月2日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| セッション | 2,300 | 2,830 | 23.0%増 |
| 注文 | 98件 | 107件 | 9.2%増 |
| 売上 | 49万円 | 53万5,000円 | 9.2%増 |
| CVR | 4.26% | 3.78% | 0.48ポイント減 |
| 貢献利益 | 13万9,000円 | 9万6,000円 | 30.9%減 |
AIでEC売上CSVを分析、最初の回答はよくできていた
最初に渡した指示は、これだけです。後ろに6行のCSVを貼りました。
あなたはEC担当者の分析を手伝います。次のテスト用CSVを分析し、売上をさらに伸ばすための重要な発見を3つと、次にやる施策を示してください。日本語で簡潔に答えてください。
AIは、広告流入の売上が16万円から24万5,000円へ増えた一方で、費用を引くと1万5,000円からマイナス1万2,000円へ悪化した点を見つけました。オーガニック流入も、9万1,000円から8万1,000円へ減ったと正しく計算しています。
ここまでは見事です。ところが二つ目の発見は、こうなりました。
メールは最も効率のよい伸長余地。CVRは5.4〜6.0%で全流入中トップ。販促費を引いた利益も2.7万円→3.3万円と増加。
続けて、配信対象を広げ、カゴ落ちメールなどを追加するよう勧めています。数字も施策も具体的なので、つい納得したくなります。ただ、利益の向きが逆です。CSVにはカゴ落ちや既存顧客の内訳もないため、この時点では配信対象を広げる根拠もありません。
メール利益を手で足すと、3万3,000円から2万7,000円だった
今回のテストでは、貢献利益を「粗利−広告費−クーポン費−返金」としました。メール流入の行だけなら、電卓でもすぐ確認できます。
| 期間 | 粗利 | クーポン費 | 返金 | 貢献利益 |
|---|---|---|---|---|
| 7月20日〜26日 | 3万6,000円 | 3,000円 | 0円 | 3万3,000円 |
| 7月27日〜8月2日 | 3万円 | 3,000円 | 0円 | 2万7,000円 |
厄介なのは、すべてを間違えたわけではないことです。広告とオーガニックは合っていて、メールだけが逆でした。「AIの計算は全部だめ」と切り捨てるより、計算結果の列を元データへ戻して確認する工程が必要だと分かります。
計算式を渡すと、売上増より先に見る数字が変わった
次は、店舗側で使う計算式と、回答に必ず含める欄を指定しました。「原因」と「CSVから確認できる事実」も分けます。OpenAIの公式モデルガイドが案内する、目的、前提、制約、必要な根拠、成功条件、出力形式を具体的にする考え方を、ECの週次分析へ当てはめています。
次のCSVについて、二つの期間を全体と流入元別に比較してください。
【計算式】
CVR=注文数÷セッション
客単価=売上÷注文数
貢献利益=粗利−広告費−クーポン費−返金
広告CPA=広告費÷注文数(広告流入だけ)【出力】
1. 全体比較
2. 流入元別で最も注意すべき変化
3. CSVから確認できる事実
4. まだ断定できない仮説
5. 次の1回で試す施策と判定指標売上増だけで成功と判断しないでください。CSVにない原因を事実のように補わないでください。
今度は、売上が9.2%増えたことと、貢献利益が30.9%減ったことが同じ表に出ました。メール利益の逆転もなくなり、流入元別では広告を最優先で見る回答になりました。
| 流入元 | 前半の貢献利益 | 後半の貢献利益 | 増減 |
|---|---|---|---|
| オーガニック | 9万1,000円 | 8万1,000円 | 1万円減 |
| 広告 | 1万5,000円 | マイナス1万2,000円 | 2万7,000円減 |
| メール | 3万3,000円 | 2万7,000円 | 6,000円減 |
広告はセッションが75%増え、注文も53%増えています。それでもCVRは4.00%から3.50%へ下がり、広告CPAは1,406円から1,837円へ上がりました。売上だけなら「広告で伸びた」、残る金額まで見ると「いったん配信先を分けて確かめたい」へ判断が変わります。
ただし、このCSVには広告セットや検索語句がありません。AIが提案した「CPAが高い広告セットを止める」は、まだ実行対象を選べない案です。次は広告セット別の費用・注文・粗利を追加し、停止前後で貢献利益、CPA、CVRを比べる。ここまでを一つのテストにすると、提案が急な断定で終わりません。
自店のCSVへ置き換えるプロンプト
自店で試すときは、まず二つの同じ長さの期間を用意します。セール、在庫切れ、価格変更など条件が大きく違う期間なら、その違いを別の列かメモで渡してください。次のひな型では、角括弧を自店の列名と定義へ置き換えます。
あなたはECの週次分析を手伝います。以下のCSVについて、[比較する二期間]を全体と[流入元・商品・店舗などの単位]別に比較してください。
【列の意味】
[列名]=[管理画面や会計上の定義]
[列名]=[税込・税抜、注文日・売上確定日などの条件]【計算式】
CVR=[注文数]÷[セッション]
客単価=[売上]÷[注文数]
店舗で使う利益=[粗利]−[広告費]−[クーポン・ポイント負担]−[返品・返金]−[ほかに含める費用]【出力】
1. 二期間の合計表と計算過程
2. 増減額と増減率
3. 元CSVから確認できる事実
4. 原因を確かめるには不足している列
5. 次に一つだけ試す施策と、続行・中止を決める指標合計値を各行から再計算してください。CSVにない原因、顧客属性、広告の内訳は事実として補わないでください。最後に、判断へ使った元の行と列名を示してください。
今回の差は、難しい命令を増やしたからではありません。「何を利益と呼ぶか」「事実と仮説をどう分けるか」を先に決めたことで生まれました。
答え合わせは、施策を読む前に4か所だけ
- 期間合計:売上、注文、費用を自分の表計算でも合計します。
- 割り算:CVR、客単価、CPAを一つずつ再計算します。
- 向き:前半から後半なのか、後半から前半なのかを列見出しと照らします。
- 提案の材料:施策に使う広告セット、商品、顧客区分が元CSVに本当にあるかを確認します。
今回なら、最初の三つは元CSVと電卓で確認できます。四つ目で材料が足りなければ、AIの施策をそのまま実行せず「次に追加する列」へ戻します。AIは、答えを決めてもらうより、数字の変化と不足データを早く洗い出してもらう方が使いやすい。メール利益を逆に読んだ一行は、その役割分担を決めるには十分な失敗でした。
本記事は記事内で取り上げる各サービスの提供会社が提供または認定するものではありません。
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