ECは自分で作る?業者に依頼?作成手段とおすすめサービス【2024年版】

以前の記事「ホームページは自分で作る?業者に依頼?作成手段とおすすめサービス【2023年版】」で、ホームぺージの作成・制作する方法を紹介しました。

今回はその記事で「ホームぺージ」という前提から除外した「ECサイト」を作成・制作する方法について考えてみたいと思います。ECを作成・制作する手段を選ぶときに注意すべき点や、手段ごとにメリットとデメリットにふれていますので、ぜひ参考にしてみてください。

ECサイトとは

EC=E-Commerceとは、イーコマース(電子商取引)を行うことに特化したホームページ(ウェブサイト)の一種です。オンラインショップとか、ネットショップなどと呼ばれます。「オンライン上で行う通信販売」と考えればよいでしょう。

最初に考えておきたいこと

ECサイトを作る際も、ホームぺージ同様、最初に基本方針を決めることが必要です。

  • 何のために作成・制作するのか?
  • どんな用意が必要なのか?
  • だれが何を作成・制作するのか
  • いつまでに公開したいのか?
  • だれが何をどんな頻度で更新するのか
  • 作成・制作、いくらまでかけるのか?(初期費用)
  • 運用・更新に、いくらまでかけるのか?(ランニングコスト)
  • どのように集客したいのか

ECサイトの場合も、これらの項目を、具体的に検討してから着手すれば、どのような手段でも進行しやすくなります。

ECサイトの運用に必要なもの(どんな用意が必要か)

ECサイトを運用する際も、必要となるものは、基本的にホームぺージと変わりません。

  • 住所(ドメイン)
    作成・制作したECサイトを公開するための住所の基本となります。
  • どこに(サーバー)
    作成・制作したECサイトを置いておく場所です。
  • どうやって(ECサイトを作成・制作するソフト・ツール・サービス)
    ECサイトを作るための方法です。

ただ、どんなサーバーに設置し、どんなURLで公開・運用するかについては、ECサイトを作る方法に大きく依存します。例えばモールに出店する場合やサービスを利用する場合は、独自にドメインやサーバーを取得しなくても、ECサイトを運用することができます。

なおECサイト公開後も、ホームぺージ同様、そのECサイトを閲覧してもらう方法=集客方法を考える必要が生じます。

  • 集客方法
    作成・制作したECサイトを閲覧してもらう手段です。もちろんホームぺージ同様、オーガニック検索(自然検索)も有効です。
    しかしECで買い物をする人には、SNSを日常的に使っている人が多いと考えられます。アライドアーキテクツ株式会社が行った2019年度「Twitter企業公式アカウント」の利用実態調査によれば、Twitterの企業アカウントをフォローしている人のうち、約76.9%がSNSをきっかけに「企業の商品やサービスを購入したことがある」と回答しています。オーガニック検索(自然検索)などに対する施策も必要ですが、ECサイトの場合、SNSの活用にはより積極的に取り組むとよいでしょう。SNSマーケティングには、無料で取り組めるイメージがありますが、リスクも伴います。その担当の教育費や人件費、セキュリティ対策、業者に依頼するのであれば経費を考慮しておくとよいでしょう。
    また運営が可能であれば、多店舗展開を考えるとよいかもしれません。同じ商品でも人の目にふれる機会が増えるでしょう。
  • 運用方法
    ECサイトは運用が必要です。新しい商品を追加し、商品情報を最新の情報に更新する。商品が入荷すれば在庫数に加算し、出荷すれば減算する。受注したらピッキングし梱包し発送する手間もかかるでしょう。受注前後のサポートも重要です。顧客データを維持し、お客様のもとへ正確に商品を届ける必要もあります。一つの店舗だけならまだしも、多店舗運営する場合は、一気に管理が複雑化するかもしれません。
    運用に役立つシステムやサービスを提供している企業もあります。誰が、いつ、どんな方法で運用していくのか、運用業務が許容量をオーバーした場合の方針も考えて、作成・制作する手段を選びましょう。
  • 運用方法(フルフィルメントの検討)
    最近、徐々に利用者が増えていると感じるのがフルフィルメントです。フルフィルメントとは、受注から配送までの業務を指します。受注・問い合わせ・在庫管理・物流(ピッキング・梱包・配送)・アフターフォロー(サポート・返品・交換)を代行するサービスです。商品登録をのぞく、ほぼ全部ですね。Amazonによるフルフィルメント(FBA)から一気に広がったように思いますが、外部サービスとして提供しているサービスもあります。
    賞味期限が短いものは利用できませんが、こういったサービスを利用すると、商品の保管場所を用意する必要がなく、ECにかかる業務負担は圧倒的に減ります。ただ一度、倉庫に送ってしまうと、その後の商品の保管状況がわからず不安です。手数料の問題もあります。手数料は安くはありません。お客様との接点が減り、ECも運営知識は蓄積されません。しかしそれでも、EC運用は大変です。本業に専念したい方は検討する価値があるのではないかと思います。

選ぶときに注意すべき点

コストパフォーマンスを考える

ECサイトには、初期費用・月額費用・各種手数料・運用費用などさまざまな費用がかかります。モールに出店する場合やサービスを利用する場合は、自社でも取り組むことができるので、初期費用を抑えることができるでしょう。しかし、費用を抑えることばかり重視していると、思わぬトラブルが生じる可能性があります。例えば業者に依頼する場合、初期費用を抑えることばかり重視していると、必要となる機能が搭載されていなかったり、商品登録やカテゴリ登録を自社でやる必要があったりすることもあります。自社でできることは自社でやる、というのも良い考え方ですが、そのために本来やるべき作業ができなければ問題です。ECサイトを運営するために、何を依頼し、何を自社でやるべきなのか、よく考えて、「費用を抑える」よりも「自社にとってコストパフォーマンスのよい手段」を選びましょう。

デザイン・機能・決済方法を考える

ECサイトの機能はユーザーが使う「フロントエンド機能」、運営する人が使う「バックエンド機能」に分かれます。ふだん目にすることのないバックエンド機能は見落としがちなので、自社が必要とする機能が全部そろっているか、事前によく確認しましょう。1店舗目の場合は特に注意が必要です。
デザインやレイアウトを選択するときは、自社イメージだけでなく、モバイル対応しているかなども注意しましょう。
決済方法については、自社が導入したい決済方法を選ぶのではなく、自社が取り扱う商品を買ってくれるターゲットがどのような決済方法を望んでいるのか考えて選びましょう。決済の導入には時間がかかります。店舗を作りこむ前に、店舗として最低限必要な機能や情報だけを設定し申し込むなど、スケジュールにも注意を払いましょう。決済方法を導入する際、かかる経費にも注意が必要です。

外部システム・外部サービスとの連携

ECサイトを運用しやすくなる外部システムや外部サービスはたくさんあります。商品管理・在庫管理・フルフィルメント・集客ツール・多店舗管理など、自社にとって必要となる外部システムや外部サービスは、運営していくにつれて見えてくることでしょう。

実際に必要になってから選ぶ必要があるわけですが、どんな外部システム・外部サービスでも連携できるわけではありません。ある程度、将来的な展開を考えたり、よく利用されているモールへの出店や人気の高いサービス・システムを選んだりしておくほうがよいかもしれません。

ECサイトを出店・作成・制作する方法

ECサイトを出店・作成・制作する手段には、さまざまな方法があります。

モールに出店する

オンライン上のショッピングモールへ出店する方法です。日本では、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどに出店する方法がよく利用されています。ECサイトを作るとき、最初に考えるのは、モールに出店するか、自社ECサイトを作成・制作するか、いずれか二択だともといえます。

  • モール出店のメリット
    ECサイトを運営するために必要な機能を備えているので、知識やスキルにバラつきがあっても、容易に運営することができます。自社の知識やスキルに自信がない初心者や、はじめてECに挑戦する場合は、ここから始めるとよいかもしれません。
    モールは駅前の百貨店やショッピングモールのようなもの。モール自体に集客力があるため、初心者や最初の店舗に向いています。モールごとに集まる顧客が異なりますので、自社の取り扱う商品を買いたいターゲットが集まると想定されるモールを選びましょう。例えば、年齢層が高いなら楽天市場、PayPay経済圏の方が多いならYahoo!ショッピング、自社の手間をかけず速やかな配送を望むならAmazonなど、どこに出店すべきか考えましょう。また違うモールに出店したり、同じモールに2店目・3店目を出店したりすることで露出を増やす「多店舗出店」も増えています。比較的、短納期で出店できることも魅力です。
  • モール出店のデメリット
    出店料や販売手数料がかかるので、利益率が下がります。同じ商品や似た商品を扱う競合店が出店しているため、価格競争に巻き込まれやすい傾向が強いこともあり、薄利となる可能性があります。
    またモール側で用意されている機能のみを使うため、できることも限られます。機能のカスタマイズはほとんどできないと考えたほうがよいでしょう。またさまざまなマーケティングをサポートするツールやサービスは充実していますが、顧客情報がモール側に紐づくことから自社ECほどの自由度はありません。
    ブランドの認知が上がりにくいという問題もあります。

サービス(ASP・SaaS)を利用する

ここ数年、CMなどでも目にするようになったBASE、STORES、Shopifyなどが、よく利用されています。日本では、メイクショップやカラーミーショップなどもよく利用されています。

  • サービス(ASP・SaaS)利用のメリット
    ランニングコストが低い傾向にあるにも関わらず、セキュリティや不具合対策にはサービス側で対応してくれるので、プログラムすることはありません。ECサイトを運営するために必要な機能を備えているので、知識やスキルにバラつきがあっても、容易に運営することができます。
    ASPとはApplication Service Providerの略、SaaSとはSoftware as a Serviceの略称です。厳密には意味が異なりますが、どちらもサービスだと考えればよいでしょう。今回の場合、自社ECサイトを作成・制作するために必要な機能を備えているサービスを意味します。モールの集客力はないが、モールよりはカスタマイズできる余地がある。自社ECサイトを作成・制作という分野では、一番安価です。ブランドの認知もあがりやすいでしょう。
    とはいえカスタマイズの範囲は限られます。必要な機能があるか、利用する配送方法や支払方法に対応しているか、サービスをよく調べ選びましょう。各サービスだけでなく、利用プラン毎に、商品登録数の上限や、決済手数料なども異なるので注意が必要です。今は利用する予定がなくても、将来的に導入するであろう機能がある場合は、プラン変更やオプションですべて対応できるようになるか、調べておくとよいでしょう。
  • サービス(ASP・SaaS)利用のデメリット
    集客のための施策が必要です。モールほどの集客力はありません。
    またサービスごとに得意な機能・利用しやすい機能が異なります。自社のやりたいことを事前にしっかりと把握することが必要でしょう。

ECパッケージを利用する

日本ではebisumart、ecbeing、EC-ORANGEなどがよく利用されています。業種に特化したECパッケージを利用するのもよいでしょう。

  • ECパッケージ利用のメリット
    ECサイトに必要とされる機能がパッケージされており、カスタマイズしやすい傾向があります。ASP的な要素を備えたECパッケージを採用すれば、運営もしやすいでしょう。
  • ECパッケージを利用のデメリット
    ECパッケージを利用するためには、ECパッケージを購入する必要があります。ECパッケージは数百万かかるため、実店舗と導入するなど、初期費用をすぐに取り戻せる企業に向いています。

オープンソースを利用する

オープンソース(open source)とは、ソフトウェアを構成するプログラムの著作権の一部を放棄、無償で一般公開しているため、だれでも利用・改変・再配布できるソフトウェアを指します。日本では、EC CUBEや、WordPressで稼働するWelcart、コマース21などがよく利用されています。

  • オープンソースのメリット
    自由にカスタマイズができ、自社独自の機能・サービスも提供できるので、ブランディングにも役立ちます。費用と時間もフルスクラッチほどはかかりません。
  • オープンソースのデメリット
    費用と時間がかかりますし。専門知識も必要となります。中級者~上級者でなければ、制作業者を探すほうがよいでしょう。セキュリティ対策や追加対策も自社で対応しなければなりませんので、制作業者には保守も含めて相談するとよいかもしれません。

フルスクラッチを利用する

最初から最後まで、すべて独自でシステムを構築する方法です。費用的にも時間的にも余裕があり、上級者を抱える企業に向いているといえるでしょう。

  • フルスクラッチのメリット
    すべて独自で構築するため、機能もデザインも好きなようにカスタマイズすることができますし、後で追加や削除を行うことも可能です。自社の都合にあわせて進行することができますし、サービス終了などの心配もありません。長く利用することができるでしょう。
  • フルスクラッチのデメリット
    何より、費用と時間がかかります。自社で作成する場合も、制作業者に依頼する場合も、それなりの費用と時間がかかることを覚悟しましょう。セキュリティ対策や追加対策にかかる費用や時間を失念することがあるので、注意しましょう。

モールへの出店と自社ECの併用も検討してみよう

ECサイトの作成・制作方法について述べてきましたが、最初の取組として検討していただきたいのは、モールへの出店と自社ECの併用です。モールの集客力を活かして顧客を集めると同時に、長期的観点から自社ECを育てることができるからです。お互いのメリットを活かすことができるでしょう。
もちろん、初期費用・ランニングコストともにかさみます。その場合は、モールに出店し、運営になれてきたところで、自社ECを足してもよいでしょう。その場合は、将来的な自社ECの運営を考慮して、モールへの商品登録やカテゴリ登録などを行っていくことで、自社ECの初期費用を抑えられるかもしれません。商品画像の登録ルールも最初に決めておくとよいでしょう。いずれにせよ、あらかじめ制作業者に相談しておけば、無駄となることはないでしょう。

ECサイトには作るにも運営するにもコストがかかります。運営費用と時間をふんだんにかけられるのならば、途中から方針を変えることも簡単です。しかしそうでなければ、提供されているサービスなどを利用して、最大限の効果を得るようにしてみましょう。

まとめ

ECサイトを作る時は、1店舗目から業者に依頼することをオススメしています。ホームぺージ同様、儲けるために伝えているというよりは、最初から業者が絡むことで、あらゆるトラブルや厄介ごとを避けて通れるからです。他人が作ったECサイトを修正しようと考えるなら、その構造から調査・理解しなければならない、結果的に要望に応じられないという可能性もあります。

また、新規ECサイトの作成・制作を対象としている補助金は多く、同じサイトでも格安で作れる可能性があります。補助されたお金を、集客などの施策に回すこともできます。
ECサイト構築にお困りの場合は、ウェブモ株式会社に相談ください。私たちはECサイト構築の専門知識と経験を持ち、お客様に最適なサポートを提供します。お気軽にお問い合わせください。

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